シードゥエラー

ティファニー IMG_7636.JPG シードゥエラー

ロレックスのプロフェッショナル・ダイバーズとして、サブマリーナーのさらに上位機種に君臨する「シードゥエラー」

ネット上の記事では、「デカ厚の時計」「赤シードの復刻」「ジェームズ・キャメロン監督のD-BLUEダイヤル」といったトピックが定番です。しかし、文献からこの時計の歴史と構造を深掘りすると、「風防が吹き飛ぶなら、ガスを抜けばいいという逆転の発想」や、「物理学の極致とも言える変態的な耐圧構造」など、深海に挑む狂気的なエンジニアリングの姿が浮かび上がってきます。今回は、オーバースペックを極めた海の怪物「シードゥエラー」の知られざる深層に迫ります。

■ 潜水士の命を救った「ガス抜き穴」とコメックスの伝説

シードゥエラー誕生の背景には、深海作業における「飽和潜水」という過酷なミッションがありました。1964年頃、フランスの潜水専門会社「コメックス(COMEX)」のダイバーたちが深海から浮上する際、時計内部に侵入した微小なヘリウムガスが膨張し、「サブマリーナーの風防が内部から吹き飛ぶ(破損する)」という致命的な事故が多発しました。

この難題に対し、ロレックスは時計をより分厚く密閉するのではなく、「ケースサイドに排出バルブを設け、内圧が高まると自動的にヘリウムガスを外部へ逃がす」という画期的なエスケープバルブを開発しました。この機構により開発され、モデル名が赤く印字された初期モデル「赤シード」が初代シードゥエラーです。

アンティーク市場では、開発に貢献したコメックス社のロゴが文字盤に入ったダブルネーム仕様の個体が、途方もないプレミア価格で取引される伝説的な存在となっています。

■ 50年目の劇的変化「サイクロップレンズ」の初搭載

ロレックスの日付表示といえば、拡大鏡である「サイクロップレンズ」が代名詞ですが、シードゥエラーには誕生以来長らく、このレンズが採用されてきませんでした。

しかし2017年、誕生50周年を記念して発表された「Ref.126600」において、ロレックスはついに歴代シードゥエラーで初めてサイクロップレンズの搭載に踏み切りました。視認性を劇的に強化すると同時に、ケースサイズを従来の40mmから43mmへと拡大し、ケース厚も約16mmへと増強して堅牢性をさらに引き上げています。

従来のレンズなしのスッキリした顔を愛するファンからは賛否両論もありましたが、視認性とプロ仕様としての機能性をどこまでも優先するロレックスの姿勢が色濃く反映されたアップデートです。

■ 物理学の極致「リングロックシステム」と深海の怪物ディープシー

シードゥエラーの究極進化系として存在する「ディープシー」は、驚異の3900m防水を誇ります。この規格外の耐圧性能を実現しているのが、変態的なケース構造「リングロックシステム」です。

これは一般的なケース構造とは全く異なり、「厚さ5mmもの屈強なドーム型サファイアクリスタル」と「グレード5のチタン合金製裏蓋」で、ケース内部に格納された「肉厚なチタン合金製のリング」を万力のように強引に挟み込んで締め付けるという、特殊な3ピース構造を採用しています。

映画監督ジェームズ・キャメロンが深海1万908mの到達記録を樹立した偉業に捧げられたこの時計は、もはや腕時計の形をした潜水艦の一部と言っても過言ではありません

■ モデル一覧


コメント

タイトルとURLをコピーしました