HUBLOT

「成功者の時計」や「スポーツ選手御用達」といった華やかなイメージが先行するウブロ(HUBLOT)。ネット上では「ビッグ・バン」のデザイン性や異素材ミックス(アート・オブ・フュージョン)といったトピックが定番です。

しかし、時計愛好家や専門家がウブロに見出している真の凄みは、「常軌を逸したマテリアルサイエンス(素材工学)」と、「時計の概念そのものを破壊する変態的なメカニズム」にあります。今回は、派手なイメージの裏側に隠された、ウブロの「狂気的な研究開発」の深層に迫ります。

■ 純金をセラミックに染み込ませる「現代の錬金術」

ウブロが開発した独自素材「マジックゴールド」は、傷がつきやすいという18Kゴールドの弱点を克服した世界初の「傷がつきにくいゴールド」です。しかしその製法は狂気を孕んでいます。

まず炭化ホウ素の粉末を200気圧で圧縮・焼成して多孔質(無数の微細な孔がある状態)のセラミックの塊を作ります。そして、純金を1100度の専用炉で溶解し、アルゴンガスによる200気圧もの高圧をかけて、そのセラミックの極小の孔に純金を「染み込ませる」のです。

硬いセラミックと柔らかい純金が混在するため切削加工が極めて困難であり、なんとこの素材を削るためだけに「専用のダイヤモンドバイト(刃)」まで開発する執念を見せました。近年では、どんな色の組み合わせやグラデーションも可能にする特許出願中の「マジックセラミック」まで開発し、素材の限界を突破し続けています。

■ 時間の流れを自在に操る「MP-02 キー・オブ・タイム」

ウブロには「マスターピース(MP)」と呼ばれる、限界を突破するための特別なハイエンドコレクションが存在します。その中でも異端中の異端が「MP-02 キー・オブ・タイム」です。

この時計は、一定であるはずの時の流れを「4倍スロー」「標準」「4倍速」の3つのスピードに任意で切り替えて表示させることができます。例えばスローモードに設定すると、実際には1時間経過していても、文字盤上は15分しか進みません。もちろん標準モードに戻せば、機械が記憶していた正しい現在時刻へと針が瞬時にジャンプして戻ります。

時刻を知るためではなく、「時間の流れを意識し、哲学する」ためだけに作られた、非常にコンセプチュアルで恐ろしい時計です。

■ 香箱11個の直列搭載と「ドリルでの巻き上げ」

超絶モデル「MP-05 ラ・フェラーリ」は、名門フェラーリのエンジンから着想を得て作られた規格外のモデルです。時計の中枢を背骨のように貫く形で、なんと11個もの香箱(ゼンマイを収める部品)を直列に繋いで格納し、手巻きでありながら「約50日間」という時計史上最長クラスの超ロングパワーリザーブを成し遂げました。

これほど巨大で長大なゼンマイを手で巻くのは困難なため、なんと「工作用ドリルのような専用電動ツール」を時計の後方に差し込んで巻き上げを行うという、常識外れのギミックを採用しています。

■ 高級時計の定石を無視した「カーボン製鳴り物時計」

時計の機能で最高峰とされる「ミニッツリピーター(音で時刻を知らせる機構)」。美しい音色を響かせるため、通常は反響の良いゴールドやプラチナなどの貴金属ケースに入れるのが絶対的なセオリーです。

しかしウブロは「ビッグ・バン ミニッツリピーター トゥールビヨン オールカーボン」において、そのセオリーを無視し、なんと「カーボンファイバー製ケース」の中にこの超絶機構を納めてしまいました。極めてクラシカルな複雑機構を、最先端の軽量スポーツ素材に強引に融合させるという、ウブロ特有の「アヴァンギャルドな反骨精神」が垣間見えます。さらにクロノグラフまで追加したモデルでは、ムーブメントのブリッジ(受け板)にまでカーボン素材を採用する徹底ぶりを見せています。

ウブロの真の姿は、ダイヤモンドやゴールドで身を飾っただけのブランドではなく、スイス時計の古い常識を最先端の素材工学と自由な発想で粉砕し続ける、「現代の錬金術師でありマッドサイエンティスト」なのです。

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クラシック フュージョン

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