GLASHUTTE ORIGINAL

GLASHUTTE ORIGINAL ロゴ

A.ランゲ&ゾーネと並び、ドイツ時計の聖地であるグラスヒュッテの伝統を色濃く継承する名門「グラスヒュッテ・オリジナル」。ネット上の記事では、「4分の3プレートやスワンネック緩急針といったドイツ時計の伝統技法を受け継ぐ正統派」「レトロモダンなシックスティーズが美しい」といった優等生的な評価が並びます。

しかし、彼らの時計作りの深層を紐解くと、そこには「同郷の絶対王者であるA.ランゲ&ゾーネへの強烈な対抗心」と、「ムーブメントの表裏をひっくり返してでも自らの美学を誇示する変態的アプローチ」、そして「時計の顔(文字盤)のためだけに工場ごと移転させてしまう異常な内製化への執念」が隠されています。

今回は、真面目な顔の裏で静かに燃え滾る、グラスヒュッテ・オリジナルの知られざる狂気と意地についてご紹介します。

■ 王者ランゲの「段差」を許さない。「パノラマデイト」の恐るべき意地

ドイツ時計を象徴する機構といえば、大型の日付表示です。A.ランゲ&ゾーネが採用する「アウトサイズデイト」は、10の位のディスクを十字型にして1の位のディスクに「重ねて」配置することでコンパクト化と大型化を両立していますが、ディスクが重なっているため、日付の左右の数字の間にどうしても「わずかな段差」が生じてしまいます。

グラスヒュッテ・オリジナルは、この段差を美学に反すると考えました。彼らが開発した「パノラマデイト」は、2枚のディスクを重ねるのではなく、「完全に同じ平面上(同軸)に並べて、一切の段差なくフラットに大型日付を表示する」という変態的な構造を採用しています。ライバルの象徴的機構の弱点を、極めて難易度の高い設計で静かにねじ伏せる、圧倒的な技術的意地を見せつけているのです。

■ 美しき心臓部を“表”にえぐり出す狂気「パノインバース」

グラスヒュッテ・オリジナルのムーブメントには、テンプ(時計の心臓部)の精度を微調整するための美しく繊細な「ダブルスワンネック微動緩急調整装置」と、手彫りの見事なエングレービングが施されたバランスブリッジが備わっています。

通常、これらの機構は時計の裏蓋(シースルーバック)からしか見ることができません。しかし彼らは、「こんなに美しいメカニズムを、時計を外さなければ見られないのは耐えられない」と考えました。

その結果生まれたのが「パノインバース」というモデルです。なんと彼らは、ムーブメントの構造を丸ごと反転させ、本来裏側にあるはずのダブルスワンネック緩急針やテンプ、さらには4分の3プレートまでも、無理やり「文字盤側(表側)」に露出させてしまったのです。時刻を読み取るための文字盤を端に追いやってまで、自らの最高傑作であるメカニズムを顔面に据えるという、狂気的なレイアウトです。

■ 世界が真似する「フライング・トゥールビヨン」の正統なる本家

重力の影響を相殺する「トゥールビヨン」のなかでも、文字盤側にブリッジ(支え)を持たず、まるで宙に浮いているかのように見えるのが「フライング・トゥールビヨン」です。現在では世界中の高級ブランドがこの機構を採用していますが、そのルーツをご存知でしょうか。

実はこの機構は、グラスヒュッテを代表する時計師であり、時計学校の教師でもあったアルフレッド・ヘルヴィグによって1920年に考案されたものなのです。グラスヒュッテ・オリジナルは、この偉大な発明の「正統な継承者(本家)」としての絶対的な誇りを持っており、自らのコンプリケーションモデルにおいて、圧倒的な完成度を誇るフライング・トゥールビヨンを堂々と披露しています。

■ 文字盤工場を丸ごと抱え込む「内製率95%」の執念

スイスのトップブランドであっても、文字盤の製造は専門のサプライヤーに外注するのが時計界の常識です。しかし、グラスヒュッテ・オリジナルは自社で文字盤を製造することに異常なまでの情熱を注いでいます。

彼らは長年ドイツのプフォルツハイムにあった自社の文字盤工場(ダイアルマニュファクトリー)を閉じ、約3年もの歳月と莫大なコストをかけて、本社のあるグラスヒュッテのすぐ近くに新しい文字盤専用工場を建設・移転させてしまいました

この新工場では、電気分解でめっき加工を施す「ガルバニック処理」や、スプレーガンを用いた繊細な「グラデーション(デグラデ)塗装」、さらには専用の金型を使ったスタンピング(型打ち)に至るまで、文字盤作りのあらゆる工程を自社内で完結させています。これにより、彼らの時計は「部品の内製率約95%」という、現代の時計界では奇跡に近い純血性を保っているのです。

さらに、完成した時計にはドイツのクロノメーター規格すら上回る「24日間におよぶ過酷な自社耐久テスト」を課しています。

グラスヒュッテ・オリジナルは、単なる「美しいドイツ時計」ではありません。その真の姿は、ライバルの機構の段差をフラットに修正し、美しい心臓部を見せるためだけにムーブメントを裏返し、文字盤のためだけに工場を統合して純度95%の自社製造を貫く、「ドイツ時計の意地と誇りを極限まで煮詰めたマッド・マニュファクチュール」なのです。

セネタ

セネタ

ドイツ時計の聖地を象徴するグラスヒュッテ・オリジナルの顔であり、最も正統派なラウンドウォッチ・コレクション「セネタ(Senator)」。ネット上の記事やカタログでは、「ブルースチール針とローマ数字の優雅なデザイン」「スーツに最も似合うクラシ...
パノマティック ルナ

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