PARMIGIANI FLEURIER

「神の手を持つ」と称される天才時計修復師ミシェル・パルミジャーニが、1996年にスイスのフルリエで創元した独立系最高峰メゾン、パルミジャーニ・フルリエ(Parmigiani Fleurier)。

一般的な時計誌や高級カタログでは、「知る人ぞ知るスイス屈指のプライベート・マニュファクチュール」「静謐なミニマリズムと古典的クラフツマンシップが同居する最上級のドレスウォッチ」と高い品格をもって称えられます。 しかし、その誕生の背景から、自動車のエンジンを縦に立てた驚愕の複雑時計、そして最新の革新的コンプリケーションに至る深層を解剖すると、そこに浮かび上がるのは「18世紀の歴史的文化遺産を修復してきた『神の手』の知性を背景に、ケースから極小歯車に至るすべてを身内で製造する完璧な垂直統合の野望」であり、「『ハンドルを握ったまま時刻を読む』ためだけにムーブメント輪列を90度回転させて爆回しする狂気的なエンジニアリング」、そして「複雑機構の複雑さを覆い隠し、ボタンひとつで時間軸を重ね合わせる至高のミニマリズム」に他なりません。

今回は、控えめな佇まいの裏に秘められた、パルミジャーニ・フルリエの知られざる変態的ディテールと美学についてご紹介します。

① 「神の手」を持つ修復師の執念と、完全なる「垂直統合(マニュファクチュール)」

創業者であるミシェル・パルミジャーニは、ブランドを立ち上げる以前、アンティーク時計やオートマタ(自動からくり人形)の修復で世界的に名を馳せた伝説の時計師でした。なかでも1990年代初頭、あまりに複雑で修復不可能とされていたアブラアン=ルイ・ブレゲの「シンパティック・クロック(同調時計)」を1600時間もの歳月をかけて完全修復してみせた偉業により、彼は時計界で「神の手を持つ男」と語り継がれる存在となります。

1996年、サンド・ファミリー財団の熱心な支援を受けて自身の名を冠したメゾンを創立すると、彼は「他社に依存しない完全な時計作り」を目指しました。 ムーブメントの製造拠点である「ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ」をはじめ、ケース製造や極小部品、ダイヤル製造を手掛ける専業サプライヤーをグループ傘下に収め、スイス高級時計界でも極めて稀有な「完全なる垂直統合(内製化)」を達成したのです。さらにショパール等と共に、クロノメーター検定を超える過酷な品質基準「カリテ・フルリエ(Qualité Fleurier)」を設立するなど、製品の精度と耐久性に対する姿勢は狂信的なまでに一貫しています。

② 車のエンジンを縦に立てた「ブガッティ」:90度直角文字盤の怪物

パルミジャーニ・フルリエの技術力が、世界中のコレクターの度肝を抜いたのが、ハイパーカーブランド「ブガッティ」とのパートナーシップから誕生した怪物たちです。

2004年に5年もの開発期間を経て登場した初代「モントル ブガッティ Type 370」(Cal.PF370)は、時計のセオリーを根本から破壊しました。 ドライバーがハンドルを握った状態のまま瞬時に時刻を確認できるよう、あろうことか文字盤を表示軸に対して「直角(90度)」に配置。そして文字盤に対し、まるで車のエンジンブロックのように、ムーブメントの輪列を水平(縦方向)にズラリと並べるという異色のレイアウトを完成させたのです。 第2世代にあたる「ブガッティ スーパースポーツ」(Cal.PF372)では、ダブルピニオンシステムを自社開発して90度の駆動力伝達を達成し、ヴェイロンの1001馬力に対抗するかのように10日間(240時間)パワーリザーブを叩き出しました。

③ 静寂なるアイコン「トンダ PF」:極薄マイクロローターと世界初のラトラパンテ

2021年、CEOグイド・テレーニの就任とともにブランドは劇的なリブランディングを果たし、フラッグシップ「トンダ PF(Tonda PF)」を発表しました。

トンダ PF マイクロローター: 手彫りのバーリーコーン(麦の穂)ギヨシェ文字盤と、手作業によるプラチナ950製のローレット加工ベゼルが与えられた美しきドレスモデル。心臓部には、厚さわずか3mmの自社製Cal.PF703(プラチナ/22Kマイクロローター)を搭載し、100m防水を備えながらケース厚「7.8mm」という脅威のスリムプロポーションを実現しています。

トンダ PF GMT ラトラパンテ: 一見するとシンプルな2針時計ですが、8時位置のプッシャーを押すとロジウム仕上げの時針が1時間単位でジャンプし、隠れていたローズゴールドのホームタイム針が現れます。そして用が済めば、リューズ同軸のボタンを押すことで、スプリットセコンド・クロノグラフ(ラトラパンテ)のように瞬時に針が重なり合って通常の2針へと復帰するという、世界初の革新機構を備えています。

トンダ PF ミニッツ ラトラパンテ: 同様のカラクリを「分針」に応用し、あと何分という経過時間をメモリー・把握できる世界初のタイム計測機能も世に放たれました。

④ 硬度1450の「ウルトラサーメット」と、純粋なる古典「トリック」

パルミジャーニのマテリアルサイエンスとクラシカルな美学は、他の追随を許しません。

トンダ PF スポーツ クロノグラフ ウルトラサーメット: 3年の研究開発を経て、ケースやベゼル、リューズ、バックルに至る外装のすべてに、チタン化合物とセラミックを融合させた新素材「ウルトラサーメット」を採用。ビッカース硬度1450 HVという圧倒的な耐傷性と、金属の冷たい質感を両立した世界初のフルサーメット・タイムピースです。

トリック(Toric): ブランド創業時の精神的ルーツであり、手作業による美しいグレイン(粒状)仕上げ文字盤とローレットベゼルが光る究極のドレスライン。過去には、世界4大聖堂の鐘の音色を再現した4つのゴングとトゥールビヨンを融合させた「トリック ウェストミンスター グランド・デイト」など、鳴り物系コンプリケーションの頂点を極めた名作を輩出し続けています。

パルミジャーニ・フルリエは、単なる「お行儀の良い静かな高級時計」ではありません。 その本質は、修復師として歴史的名機の構造を知り尽くした「神の手」が、完璧な自社グループ生産(垂直統合)の背景のもと、エンジンの垂直配置やボタンひとつで消えるGMT針、1450ビッカースのハイテク新素材を静かにねじ込み、「複雑すぎる技術をあえてひけらかさず、最高のミニマリズムと気品の中に押し込めた、時計界で最も奥深く、最も知的な『静かなるハイスペック・モンスター』」なのです。

トンダ1950

トンダ1950

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パーシング

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パーシング コレクションについて「パーシング(Pershing)」は、パルミジャーニ・フルリエが世界的に著名な高級クルーザーメーカーとのコラボレーションによって誕生させたラグジュアリースポーツウォッチコレクションです。鮮烈なレッドベゼルが醸...